こども学科の1年生が,2月12日~18日(A班),2月19日~26日(B班),3月1日~5日(C班)の期間に分かれ,初等教育実習(幼)Ⅰを実施しました。
授業担当の今井美樹先生の振り返りの指導後,学生たちによるグループでの話し合い,発表を行いました。
実習を振り返って,難しかったこと,よくできたなと思っていることを素直な気持ちで発表していました。
コロナ禍では、ある言葉から連想する意味が変わるということが起こっています。
集合体を意味する「クラスター」、集まりや深いつながりを意味する「密」、距離や道のりを意味する「ディスタンス」、相手のことを大切に考えるための「エチケット」、状態の濃さを表す「濃厚」などは、今、別の意味が付与されて流通しています。とりわけ、ネガティブ(否定的)な意味合いが付与されているように思えます。
こうしたことは、時代の流れの中では必然のことですが、学生と言葉を介しながら学問をともにする大学教員・研究者は、その変化への感度を高めておく必要があります。
私が担当する後期の授業で、実地学習(学外研修)という「現場」で学ぶ機会を持ちました。
そこで、改めて感じたことは、私たち教員は、学生と常に「濃厚接触者」であるべきだということでした。
学生たちが里山学習を体験する姿を見ていて、かれらがどれほど苦心しているか、その反対に、どのように表情を移ろわせているか、何に力を込め、どの行為に集中を注いでいるか、どのタイミングで息抜きをしたのか、それらを直に見ることで、私たちは彼ら自身の学習実感に少しずつ近づいていくのだと思います。
教育には人やモノとの「濃厚接触」は不可欠・・・そうであれば教員は常に子ども・生徒・学生の「濃厚接触者」を目指すべきである。
学生と「密」に関わり、人間らしい「エチケット」を基調とした、学びあいの「クラスター」を組織し、学生が主体性を発揮するための適度な「ディスタンス」を保ちつつ、「濃厚」に関わる者でいたい。
4月からの入学生、そして在校生にも、そのように関わろうと、山の自然に囲まれて思いました。
閉塞的な学びの空間から飛び出す学習を、この大学でまだまだ追究します。
【問題】新型コロナウイルス感染症によって大学生の学ぶ機会が損なわれています。あなたが大学教員ならば、どのように対応しますか?
【答え】
【解説】
今、大学教育には大きな問いが投げかけられています。
それは、「コロナ禍で大学生の学びを保障できるのか」という問いです。
上記の写真は、私なりに導き出した一つの答えです。
大学教育は、座学だけではありません。
ゼミ合宿、学外実習、学外研修、フィールドワーク、実地学習など、さまざまな形態があります。
私は、毎年、学生たちを大阪で唯一の村「千早赤阪村」に連れ出します。
そこで、里山学習をしてくださる地域の方のナビゲートのもと、山を歩き回り、自然とふれあい、自ら確保した薪を斧で割り、火を付け、たき火をしながら、その火で食事を作り、火を囲んで語り合います。
写真は、山の頂上付近で杉のつかまり競争をしている学生たちの姿です。
ここに「三密」はありません。あるのは、久しく見られなかった学生たちの授業中の笑顔。
教員の私にとっても、いい時間でした。
新型コロナウイルス感染症による制限は、教員の工夫次第で、ある程度乗り切れる。
学生の学びの保障を第一に考えれば、大学教育にできることは、まだまだあるはずです。
千早赤阪村での学びの意味やおもしろさについては、また別の機会にブログにて。
こども学科・GIGAスクール構想対策プロジェクトが始まります‼(予定)。
2019年12月,文部科学省が,「GIGAスクール構想」を提唱しました。GIGAとは,Global and Innovation Gateway for Allの略称です。1人1台の学習者用端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し,授業での活用を主な取り組みとして教育のICT化を推進していくことが構想のテーマ。ICTの活用・学習者用PC・学習と校務のクラウド化・校内LANの整備がポイントです。
👆Click
ICT化は,先ず,ICTを活用することによる授業内容のプレゼン効果のUPを期待されますが,ICT化には,Study Logによる学習効果のUPも期待されます。
4年間の学びをデジタルで蓄積 ➡ 振り返りによる ➡ 記憶の定着化 ➡ 教育効果UP期待
本学部は,全国にある‟こども”を冠する学部の第一号であり,幼児教育系においての伝統と信頼があります。次代の新しい時代においても,‟ICT幼児教育” をテーマに,Breguet やMercedesのように,原点であり,フロントランナーでありたいと思います。
以前,「‟ICT幼児教育のこども学科”を目指して‼? 科学PPT絵本制作 👆Click」で紹介しましたが,現在は,自称 ‟ICT幼児教育のこども学科” ですが,今後の研究・教育・実践活動を通して,周りの方々から,‟ICT幼児教育のこども学科” と認知され,呼ばれるようになって行きたいと思います。
本学の附属幼稚園において,1年生の幼稚園実習が始まりました。
昨年,9月14日(月)から,4月に入学した1年生が,この実習に向けて,プレ・プレ実習で準備してきました 👆Click。
いよいよ,これまでの成果を発揮できる機会です。学生たちは,2年生になったら参加する学外の幼稚園実習に向けて,十分な経験と自信を持ってのぞめるよう,真剣に取り組んでいました。
「脳と心」という一般教養の授業を担当しています。この授業で,ユニセフ(UNICEF (国際連合児童基金))が取り組んでいる,乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development:ECD)キャンペーンの活動を取り上げています。
ECDとは,ユニセフが,世界各地の現場で積み重ねてきた経験と,脳科学をはじめとする最新の科学的知見を裏付けに,赤ちゃんが母胎の中にいる10か月間を含む8歳までの時期の大切さを訴える世界キャンペーンです。脳が急速に発達する人生の最初の数年間の極めて重要な時期に,両親がこれまで以上に子どもたちを保護し,より良い栄養,遊び,早期学習経験を与えることを手助けするというものです 👆Click。
SDGsのグローバル目標では,目標1,目標2,目標3,目標4,目標10,目標16,目標17が該当するでしょうか。
2017年9月発表された報告書:「Early Moments Matter for Every Child(すべての子どもにとって“はじめ”が肝心)👆Click」では,主に次の①~④を報告しています。
①約7,500万人の5歳未満児が紛争の影響を受ける地域に暮らし,乳幼児期の脳細胞の結合を妨げる可能性のある有害なストレスを受ける危険性が高まっている。
②栄養不良,不健康な環境および病気が原因で,世界の1億5,500万人の5歳未満児が,彼らの身体と脳が本来持つ能力を十分に発揮して成長できなくなる発育阻害の状態にある。
③64の国々では,2歳から4歳の子どもの4分の1が,脳の発達に不可欠な遊び,読書,歌唱などの活動を行っていない。
④世界の約3億人の子どもが,最近の調査が子どもの脳の発達を損なうとする有害な大気のある地域で暮らしている。
ユニセフは,ECDへの取り組みがSDGs達成の基盤になるとして,特に,SDGsのグローバル目標4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し生涯学習の機会を促進する」の中のターゲット項目4.2「2030年までに,すべての子どもが男女の区別なく,質の高い乳幼児の発達・ケア及び 就学前教育にアクセスすることにより,初等教育を受ける準備が整うようにする。」の達成を重視しています。
SDGs4
「脳と心」の授業で,この課題の解決策を追求しようと,次のような課題を本学の大学生,附属の高校生に出題しました。
『「全ての子どもが男女の区別なく,質の高い乳幼児の発達・ケア及び 就学前教育にアクセスすることにより,初等教育を受ける準備が整うようにする」について,各学生に割り当てられたキーワードを4つ全て入れて,解決策を提案せよ。』
「こども学科SDGs宣言」実践レポート 環境教育編 👆Clickで紹介した方法と同じですが,学校・メディア・AIなど24のキーワードの中から,フリーの抽選ソフトを使い,4つのキーワードをランダムに選出し,それらを必ず入れて,テーマの課題解決策の提案をするPPTファイルを制作してもらいました。
附属高校3年生の提案を紹介します。この学生には,有名人・時計・AI・外国人のキーワードが割り当てられ,次のような提案をしてくれました。
課題に取り組んでいる過程で,ある生徒が,「なんでこの課題やらないとなの?」とポツリと言っていました。
2015年の国立大学改革プランに基づいた文部科学大臣決定「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」では,大学の人文科学系・社会科学系の学部の再編が議題になりました。それらの動向を受け,ある文学部の先生が,「社会に出て直ぐに役に立つ知識・スキルは,直ぐに役に立たない知識・スキルになる」と仰っていたのが印象に残っています。
大学は,社会に出て直ぐに役に立つ知識・スキルの修得を,あるいは,のみを修得するところではありません。次代は,社会が急激・急速に変化する,世界情勢の大変革期の時代とされます。そのような社会で生きる上で,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題に対して,解決策を案出し,実行できる力の育成を目指しています。このような考えで,課題を出題していることを理解してもらえれば嬉しいです。
引用:https://www.unicef.or.jp/ecd/
https://www.unicef.or.jp/news/2017/0198.html
1月28日(木),卒業研究発表が実施されました。学生生活4年間の集大成となる卒業研究を教員,学生の前で発表するものです。
今年度は,26名の学生が,幼保・教育・福祉など幅広い領域の研究を発表しました。学生たちの研究テーマは次のようです。
①役割を持つ動物たち:アニマルセラピーに着目して
②ダウン症の子どもを育てる親の思い
③奈良県「やまとこども園」の食に関する実践研究
④今日における不登校支援のあり方と生野学園の実践
⑤子どもの自尊感情を高めるための授業づくり:他者を尊重し,自己をつくる教育
⑥児童相談所の一時保護施設内で子どもたちが受ける影響とは
⑦知的障害の人に対しての支援,関わり方:インタビューを通して
⑧伏見稲荷大社の「魅力」とは何か
⑨絵本の読み聞かせにおける読み手の工夫の一考察
⑩サッカーが子どもの発達に与える影響について
⑪保育環境における自閉症児支援について
⑫大学生の結婚観について:結婚は幸福の条件か
⑬『トイ・ストーリー4』の考察:賛否両論とその理由
⑭体罰の非教育的意味に関する一考察:愛知県のある体罰事件を中心に
⑮ディズニーランドとディズニーシーは老若男女に愛され魅了されるのはなぜか
⑯スポーツをするのに筋力トレーニングをするのはなぜか
⑰宮西達也の世界:様々な「愛」のあり方
⑱おもちゃの発祥を探る:縄文時代から現代のおもちゃについて
⑲ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』における内面描写と人間関係
⑳水族館の魅力
㉑パラスポーツと障がいの関係について
㉒大学生の自閉症理解
㉓淀川と地域の人々との関わり
㉔授業の中での子どもの「発言」がもつ意味とは
㉕スーザン・フォワードが提起する「毒になる親」概念の検討:日本における親子関係の課題検討とともに
㉖宮沢賢治『注文の多い料理店』の絵本を読み較べる
学生の発表PPT資料を紹介します。この学生は,アニマルセラピーをテーマに,「動物にはたくさんの可能性があること,もっと人間と動物が助け合うことで,新たな可能性が生まれること。また,人のために働いている動物がたくさんいるということを知ってほしい。」との考えから卒業研究に取組みました。
2019年6月,こども学科は,「こども学科SDGs宣言」を宣言しました。「こども学 for SDGs」をキーフレーズに,こども学・臨床教育学・文学・音楽・情報教育学・ユニバーサル教育・教育学・保育学・発達心理学など多岐な学問領域でSDGsの実現に向けた取組を展開し,こども学の枠組みで,SDGsの実現を目指すというものです 👆Click。
自然科学関連の一般教養科目「水と環境」という授業を担当しています。「水と環境」では,「生物多様性」「外来種」「SDGs」「パリ協定」「COP」「WEPA:Water Environment Partnership in Asia」「水質保全」「地球温暖化問題」「ヒートアイランド現象」「遺伝子組み換え作物」「環境問題を軽減化する資源・エネルギー開発」「環境に対する企業・NPOの取り組み」などに関する授業を実施しています。SDGsのグローバル目標では,目標4,目標6,目標7,目標9,目標7,目標11,目標12,目標13,目標14,目標15,目標17が該当するでしょうか。
次代は,社会の急激・急速な変化や,Society 5.0など新たな社会像構築の模索が世界中で目指され,世界情勢の大変革期の時代とされます。そのような社会で生きる上で,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題に対して,解決策を案出し,実行できる力の育成が要請されています。
「こども学科SDGs宣言」の実践として,「水と環境」の授業で,SDGsカードゲームの方式を取り入れ,「地球環境を護るために自分たちができること」をテーマに,課題解決策の提案をするという課題に,学生に取り組んでもらいました。
学校・メディア・AIなど24のキーワードの中から,フリーの抽選ソフトを使い,4つのキーワードをランダムに選出し,それらを必ず入れて,テーマの課題解決策の提案をするPPTファイルを制作する課題としました。これは,SDGsカードゲームで,現在の環境問題に対する解決策を提案するにあたり,複数の限られた解決策を使用して解決策を考えることの求めに応えることで,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題の解決策を案出することで,問題解決スキル習得に役立つことを期待してのものです。
こども学科2回生の提案を紹介します。この学生には,スマホ・花・スポーツ・音楽のキーワードが割り当てられ,次のような提案をしてくれました。