いつもと違う開始となった今年度の前期ですが,どうにか授業・定期考査を実施することができました。学生は,9月末までの長期の休みになりますが,安全・健康に気をつけて,何事もなく元気な姿を後期に見せて欲しいと思います。この長期の休みの中,将来に向けての学びを深めると共に,教育・保育に携わる者として,教養を広め・高めて欲しいと思います。そこで,こんな本を読んだらいいよ,こんな映画を観たらいいよ,こんな音楽を聴いたらいいよ,などなどを推薦させてもらいます。先ず隗より始めよ,ということで,次を推薦します。あくまで,個人の独断と偏見と嗜好に基づくものです。
①安宅和人著『シン・ニホン:AI×データ時代における日本の再生と人材育成』2020年
McKinsey & Company, Inc.を経て,Yahoo JAPANでCSO:Chief Strategy Officer(最高戦略責任者)を務める著者ならではの現状と今後の認識のもと,日本の将来についての課題を示した最新作です。次代を生きるために,次代を生きる児童の教育に携わるためにはどうしたら良いのか?そんなことを考えさせられる著書です。
②E.ブロンテ原作 映画『Wuthering Heights(嵐が丘)』1992年イギリス制作
原作が世界の十大小説と言われる著名な作品で,1939年の映画化以来,何度もリメークされていますが,1992年にイギリスで制作された作品を推薦します。何が良いか,音楽が良いです。坂本龍一さんのオリジナルスコアです。オリエント三部作のように,広く知られ高く評価されている作品ではありませんが,メロディの美しさと,オーケストレーションの巧妙さは,後期ロマン主義の流れを汲むと称せられる,坂本作品ならではの秀逸作です。音楽を聴くだけで価値のある作品だと思います。OSTは,中古では,なんと1円で買えます。
③カズオ・イシグロ著『日の名残り(The Remains of the Day)』1989年
2017年にノーベル文学賞を受賞した,カズオ・イシグロの代表作の1つです。時代が移り行く中,自身の成すべきことを直向きに行いながら,時代の変化にも対応しようと取り組む主人公の姿は,現況の中,読むのに適した作品であると思います。日本にルーツのある著者の作品であるため,親しみを持って読める世界の名著です。