こども学科で,小学校教員免許を取得するための必修の授業である,「理科指導法」の授業において,STEAM教育の成果を,「21世紀型能力」の観点から評価するための「STEAMコンピテンシー評価方法」の演習を実践しました。
1990年代以降,欧米を始めとする諸外国では,知識・技能だけでなく,competency(人間の全体的能力)を基に教育目標を設定し,教育政策をデザインする動きが定着化しました。OECD(経済協力開発機構)は,人間関係の形成や社会の発展に関わる力を「Key Competency」と定義しました。日本では, 内閣府が「人間力」,文部科学省が「学士力」,経済産業省が「社会人基礎力」 などとし,これらの動きを受けて,2013年,国立教育政策研究所が,「21世紀型能力」として整理しました。
「理科指導法」の授業で,「身近な地域素材を活用したSTEAM教材開発」をしてもらいました。大阪府,和歌山県,奈良県,滋賀県,北海道など,学生は自身の出身地など,よく知っている地域の特産物・伝統文化などを対象にしました。このSTEAM教材を教材として,小学校で実践することを想定した授業を,「21世紀型能力」の観点から,ルーブリック評価する方法を考える演習を実施しました。
STEAM教育は,現在の教育界で,データ駆動型GIGAスクール構想の実現と並ぶ重要な事項の1つです。日本では,国家戦略と位置付ける欧米諸国や東南アジア諸国などと比べて,導入・進展が遅れていると言われています。その理由の1つに,授業で実践したSTEAM教育をどのように評価するのかが十分に研究が進んでいないことがあげられます。この演習を通して,学生自身が,小学校でSTEAM教育を実践した場合に,評価する方法の1つを知るとともに,どのように評価するのかについて考えるきっかけとなる実践になったと思います。
詳しい内容は,2023年10月7日(土)開催予定,「日本STEM教育学会 第6回年次大会(オンライン)」で,研究発表します。
研究発表を通して,STEM教育学界の関係者の方々に広く,こども学科での教育実践・教員養成を知って頂ければと思います。