2分で800m走るということ

男子100m走の盛上がりもあり、注目の高い第103回日本陸上競技選手権大会ですが、こども学科の学生も出場しています。女子400mに2年次の川田彩夏さんと1年次の大西愛永さん、女子800mに川田彩夏さんがエントリーしています。日本の頂点を決める大会への出場です。

女子800mでは、川田彩夏さんが決勝まで進み2位となりました。終始1位を狙える位置で走る積極的なレースは見る人を惹きつけますね。レースは動画で見ることができます。

小学校算数の文章題でもっとも有名なものの一つが旅人算です。「高井田さんは1分間に80m歩きます。川田さんは2分間で800m走ります。高井田さんが川田さんの家から帰るとき、川田さんの家に忘れ物をしました。高井田さんが川田さんの家を出発して歩き始めてから3分後に、川田さんが高井田さんに忘れ物を届けるために家を出発して走りだしました。川田さんが出発してから高井田さんに追いつくまでの時間と、川田さんの家から追いついた場所までの距離を求めなさい。」

こども学科には小学校の先生を目指す学生がいますが、このような問題を小学生に教えるのはなかなか難しいことです。考えすぎるがゆえに、このような問題が苦手な子もいます。「忘れ物を手にして走ったら遅くなるのではないか?」「高井田さんの家が近かったら追いつく前に家に着いてしまうのではないか?」「そもそも忘れ物に気がついたらまず携帯に電話するのではないか?」「いや、忘れ物が携帯電話だったから連絡できなかったのではないか?」など、考えれば考えるほど解けなくなってしまいます。2分間で800mを走るという川田さんの速さをありえないと考えて、出題ミスではないかと考える子どももいます。でも、この信じられないスピードは現実なのです。

筆者も子どものころ、現実では考えにくい設定が苦手でした。こども学科から誕生する小学校の先生には、できるだけ子どもが余計なことを考えない、現実的な設定の文章題を子どもに与えてもらえたらと願います。そして、旅人算には、2分間で800m走る川田さんを登場させて、子どもたちを驚かせてください。

参考までに、上の問題の答えです。

800÷2=400(川田さんのm/分) 80✕3=240m先にいる高井田さん 240÷(400-80)=0.75 (1分間で320m追いつくので0.75分で追いつく) 60✕0.75=45秒 400✕0.75=300

答 45秒後に家から300mのところで追いつく

別解

川田さんの速さと高井田さんの速さの比は400:80=5:1したがって同じ距離を進むためにかかる時間は1:5。追いつくまでに移動した時間の差が3分なので、3÷(5-1)=0.75分(川田さんの走った時間)

3分先にスタートした相手に1分もかからずに追いつくというのは驚異的です。