大学生なら卒論を(2018年度 その5)

卒業研究紹介の最終回です。5人紹介します。

村山ほのか(渡邉由ゼミ)「幼児期における『どろんこ遊び』の必要性」

大阪市内の「どろんこ保育園」の園長への聞き取り調査や、文献、インターネット上の資料の分析をしています。各年齢におけるどろんこ遊びの変化についてまとめています。どろんこ遊びは、手の感覚の発達に必要であり、遊びの中で学ぶことがたくさんあるそうです。可塑性のある遊びが幼児期に最適であるとのことです。個人的には、粘土遊びとの違いについて知りたいと思いました。

山田晴二(渡邊ルゼミ)「こども達にとって紙芝居とは〜保育における演じ方〜」

季節行事に関連した紙芝居が多いことに着目し、七夕行事の紙芝居「たなばたのおはなし」「なぜ、七夕にささかざりをするの?」を比較しています。男女がひきさかれた要因や、人々が願い事をするようになったこととの関係の有無などに違いがあることを報告しています。物語の面白さそのものをメインとするものと、七夕行事の意味を知って保育活動につなげるものがあるということです。クリスマスの由来について書かれている「いちばんはじめのサンタクロース」では、ただプレゼントをもらうのではなく、クリスマスが優しい心に答えるという特別な行事であることがわかるような話になっているそうです。
紙芝居は画面の抜き方など、演じる時の工夫も必要であり、保育活動へのきっかけとにつながる紙芝居では、聞く力、考える力も身につくとまとめています。
今や、子どもでもYouTubeを見る時代ですが、そんな時代だからこそ、紙芝居の存在感が際立つように思いました。

山田美空(渡邉由ゼミ)「浜崎あゆみの歌詞と幼少期の関係性」

全ての歌詞を自身で作詞している浜崎あゆみの歌詞の変遷に注目し、ネガティブな歌詞が多いことと、自身の幼少期と関係があるのかについて考察しています。浜崎あゆみに関する文献には、浜崎あゆみが、父親が出て行ったときを鮮明に覚えていることが記されているようです。歌詞を3期に分けて、その変遷をたどっています。幼少期の体験もみられる第1期、やめられないから歌手をつづけていく第2期、歌がすきでファンのために歌っている第3期となり、全てが幼少期と関係あるわけではないことが分かったようです。
浜崎あゆみが世にでたとき、ここまでの歌い手になるとは、私は全く予想していませんでした。そのころから浜崎あゆみを推していた友人は慧眼であったと、しみじみ思います。

吉田美優(渡邉由ゼミ)「食物アレルギーのある子どもが生きやすい社会とは」

こどもの食物アレルギーが増えているという調査結果があるようです。学校給食では誤食事故があり、5年生の女児が死亡することなどもありました。学校現場では「学校生活管理表」を提出していても、学校側が間違えたりすることで重篤なアレルギー反応が起こっていることから、免許・資格をとる段階での食物アレルギーについての講義に力を入れることが、食物アレルギーのある子どもが行きやすい社会であると結論づけています。
事故を起こさないためのしくみを作っても、結局は教育が大事だというのは、どの世界でも同じなのだなと感じます。

宮崎大地(渡邉由ゼミ)「こども食堂「こもれびカフェ」に関する研究—利用者が求める非日常性とはー」

全国的に広がりをみせている「こども食堂」について、どのような取り組みが行われており、なぜ広がりを見せているのか、実態や利用者のニーズ、子どもへの影響を調べる研究です。学生自身がボランティアで参加している「こもれびカフェ」の運営者へのインタビューや利用者のアンケートに基づいて分析しています。
「こども食堂」は貧困家庭の子どもや、子どもが一人で食事をする孤食に向けた対策として民間発の福祉サービスとして始まったが、「こもれびカフェ」は、「子どもと保護者が一緒になって絵本をゆっくりと読めるような時間を作れるように。」という願いがあり、「子育て支援」に重きを置いて活動をしていることに注目しています。運営者の想いと利用者のニーズが一致していることが分析結果から分かったようです。

卒業研究発表会の報告は以上です。まもなく卒業式が始まります。