2月16日(火),丹山先生の4年ゼミ生と,附属幼稚園の年長さんによる演奏会が附属幼稚園で開催されます。
発表に向けて,附属幼稚園で練習しました。上手く演奏できるといいですね。
本学の附属幼稚園において,1年生の幼稚園実習が始まりました。
昨年,9月14日(月)から,4月に入学した1年生が,この実習に向けて,プレ・プレ実習で準備してきました 👆Click。
いよいよ,これまでの成果を発揮できる機会です。学生たちは,2年生になったら参加する学外の幼稚園実習に向けて,十分な経験と自信を持ってのぞめるよう,真剣に取り組んでいました。
「脳と心」という一般教養の授業を担当しています。この授業で,ユニセフ(UNICEF (国際連合児童基金))が取り組んでいる,乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development:ECD)キャンペーンの活動を取り上げています。
ECDとは,ユニセフが,世界各地の現場で積み重ねてきた経験と,脳科学をはじめとする最新の科学的知見を裏付けに,赤ちゃんが母胎の中にいる10か月間を含む8歳までの時期の大切さを訴える世界キャンペーンです。脳が急速に発達する人生の最初の数年間の極めて重要な時期に,両親がこれまで以上に子どもたちを保護し,より良い栄養,遊び,早期学習経験を与えることを手助けするというものです 👆Click。
SDGsのグローバル目標では,目標1,目標2,目標3,目標4,目標10,目標16,目標17が該当するでしょうか。
2017年9月発表された報告書:「Early Moments Matter for Every Child(すべての子どもにとって“はじめ”が肝心)👆Click」では,主に次の①~④を報告しています。
①約7,500万人の5歳未満児が紛争の影響を受ける地域に暮らし,乳幼児期の脳細胞の結合を妨げる可能性のある有害なストレスを受ける危険性が高まっている。
②栄養不良,不健康な環境および病気が原因で,世界の1億5,500万人の5歳未満児が,彼らの身体と脳が本来持つ能力を十分に発揮して成長できなくなる発育阻害の状態にある。
③64の国々では,2歳から4歳の子どもの4分の1が,脳の発達に不可欠な遊び,読書,歌唱などの活動を行っていない。
④世界の約3億人の子どもが,最近の調査が子どもの脳の発達を損なうとする有害な大気のある地域で暮らしている。
ユニセフは,ECDへの取り組みがSDGs達成の基盤になるとして,特に,SDGsのグローバル目標4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し生涯学習の機会を促進する」の中のターゲット項目4.2「2030年までに,すべての子どもが男女の区別なく,質の高い乳幼児の発達・ケア及び 就学前教育にアクセスすることにより,初等教育を受ける準備が整うようにする。」の達成を重視しています。
SDGs4
「脳と心」の授業で,この課題の解決策を追求しようと,次のような課題を本学の大学生,附属の高校生に出題しました。
『「全ての子どもが男女の区別なく,質の高い乳幼児の発達・ケア及び 就学前教育にアクセスすることにより,初等教育を受ける準備が整うようにする」について,各学生に割り当てられたキーワードを4つ全て入れて,解決策を提案せよ。』
「こども学科SDGs宣言」実践レポート 環境教育編 👆Clickで紹介した方法と同じですが,学校・メディア・AIなど24のキーワードの中から,フリーの抽選ソフトを使い,4つのキーワードをランダムに選出し,それらを必ず入れて,テーマの課題解決策の提案をするPPTファイルを制作してもらいました。
附属高校3年生の提案を紹介します。この学生には,有名人・時計・AI・外国人のキーワードが割り当てられ,次のような提案をしてくれました。
課題に取り組んでいる過程で,ある生徒が,「なんでこの課題やらないとなの?」とポツリと言っていました。
2015年の国立大学改革プランに基づいた文部科学大臣決定「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」では,大学の人文科学系・社会科学系の学部の再編が議題になりました。それらの動向を受け,ある文学部の先生が,「社会に出て直ぐに役に立つ知識・スキルは,直ぐに役に立たない知識・スキルになる」と仰っていたのが印象に残っています。
大学は,社会に出て直ぐに役に立つ知識・スキルの修得を,あるいは,のみを修得するところではありません。次代は,社会が急激・急速に変化する,世界情勢の大変革期の時代とされます。そのような社会で生きる上で,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題に対して,解決策を案出し,実行できる力の育成を目指しています。このような考えで,課題を出題していることを理解してもらえれば嬉しいです。
引用:https://www.unicef.or.jp/ecd/
https://www.unicef.or.jp/news/2017/0198.html
1月28日(木),卒業研究発表が実施されました。学生生活4年間の集大成となる卒業研究を教員,学生の前で発表するものです。
今年度は,26名の学生が,幼保・教育・福祉など幅広い領域の研究を発表しました。学生たちの研究テーマは次のようです。
①役割を持つ動物たち:アニマルセラピーに着目して
②ダウン症の子どもを育てる親の思い
③奈良県「やまとこども園」の食に関する実践研究
④今日における不登校支援のあり方と生野学園の実践
⑤子どもの自尊感情を高めるための授業づくり:他者を尊重し,自己をつくる教育
⑥児童相談所の一時保護施設内で子どもたちが受ける影響とは
⑦知的障害の人に対しての支援,関わり方:インタビューを通して
⑧伏見稲荷大社の「魅力」とは何か
⑨絵本の読み聞かせにおける読み手の工夫の一考察
⑩サッカーが子どもの発達に与える影響について
⑪保育環境における自閉症児支援について
⑫大学生の結婚観について:結婚は幸福の条件か
⑬『トイ・ストーリー4』の考察:賛否両論とその理由
⑭体罰の非教育的意味に関する一考察:愛知県のある体罰事件を中心に
⑮ディズニーランドとディズニーシーは老若男女に愛され魅了されるのはなぜか
⑯スポーツをするのに筋力トレーニングをするのはなぜか
⑰宮西達也の世界:様々な「愛」のあり方
⑱おもちゃの発祥を探る:縄文時代から現代のおもちゃについて
⑲ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』における内面描写と人間関係
⑳水族館の魅力
㉑パラスポーツと障がいの関係について
㉒大学生の自閉症理解
㉓淀川と地域の人々との関わり
㉔授業の中での子どもの「発言」がもつ意味とは
㉕スーザン・フォワードが提起する「毒になる親」概念の検討:日本における親子関係の課題検討とともに
㉖宮沢賢治『注文の多い料理店』の絵本を読み較べる
学生の発表PPT資料を紹介します。この学生は,アニマルセラピーをテーマに,「動物にはたくさんの可能性があること,もっと人間と動物が助け合うことで,新たな可能性が生まれること。また,人のために働いている動物がたくさんいるということを知ってほしい。」との考えから卒業研究に取組みました。
2019年6月,こども学科は,「こども学科SDGs宣言」を宣言しました。「こども学 for SDGs」をキーフレーズに,こども学・臨床教育学・文学・音楽・情報教育学・ユニバーサル教育・教育学・保育学・発達心理学など多岐な学問領域でSDGsの実現に向けた取組を展開し,こども学の枠組みで,SDGsの実現を目指すというものです 👆Click。
自然科学関連の一般教養科目「水と環境」という授業を担当しています。「水と環境」では,「生物多様性」「外来種」「SDGs」「パリ協定」「COP」「WEPA:Water Environment Partnership in Asia」「水質保全」「地球温暖化問題」「ヒートアイランド現象」「遺伝子組み換え作物」「環境問題を軽減化する資源・エネルギー開発」「環境に対する企業・NPOの取り組み」などに関する授業を実施しています。SDGsのグローバル目標では,目標4,目標6,目標7,目標9,目標7,目標11,目標12,目標13,目標14,目標15,目標17が該当するでしょうか。
次代は,社会の急激・急速な変化や,Society 5.0など新たな社会像構築の模索が世界中で目指され,世界情勢の大変革期の時代とされます。そのような社会で生きる上で,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題に対して,解決策を案出し,実行できる力の育成が要請されています。
「こども学科SDGs宣言」の実践として,「水と環境」の授業で,SDGsカードゲームの方式を取り入れ,「地球環境を護るために自分たちができること」をテーマに,課題解決策の提案をするという課題に,学生に取り組んでもらいました。
学校・メディア・AIなど24のキーワードの中から,フリーの抽選ソフトを使い,4つのキーワードをランダムに選出し,それらを必ず入れて,テーマの課題解決策の提案をするPPTファイルを制作する課題としました。これは,SDGsカードゲームで,現在の環境問題に対する解決策を提案するにあたり,複数の限られた解決策を使用して解決策を考えることの求めに応えることで,オープンエンドな課題や解決策が不明な課題の解決策を案出することで,問題解決スキル習得に役立つことを期待してのものです。
こども学科2回生の提案を紹介します。この学生には,スマホ・花・スポーツ・音楽のキーワードが割り当てられ,次のような提案をしてくれました。
環境教育関連の一般教養科目として,「水と環境」という授業を担当しています。本授業の課題として,「地球環境保護を教える科学PPT絵本」の制作・発表に学生が取り組みました。
道徳・倫理を教えるのが絵本,道徳・倫理を基礎にしながら,科学的な内容の理解を伝えるのが科学絵本です。例えば,絵本は,お祭りで買ったカメを捨ててはかわいそうなので,捨てないようにしましょう。科学絵本は,お祭りで買ったカメを捨ると,在来種のカメの生育環境・エサを駆逐し,生態系に影響を与えるので,捨てないようにしましょうというようです。
こども学科の2回生のグループが制作した科学PPT絵本を紹介します。
大学の授業がOn Lineで実施されている中,グループのメンバー同士メールで連絡を取り合い,先ず話し合って地球環境問題に関するテーマを選び,ストーリーを考え,分担を決めてペイントで絵を描き,PPTスライドに絵を挿入し,テキストボックス等で文字を入れ,共有ドライブにULし,科学PPT絵本を完成させたと話していました。
‟ICT幼児教育のこども学科”を目指して,といえば大げさすぎます。そもそも,ICT教育ともいえないレベルですが,幼保教育のICT化への対応を考慮して,学生にこの課題に取り組んでもらいました。
2021年,教育界は大きくICT化へ動きます。幼保系の現状は,手書き文化であり,ICT化が必要なのか?と思われると思いますが,現状の社会・教育界の動向から,幼保系でICT化が早急に進む可能性も十分に考えられます。
先進的にICT化を進めた職業教育を実施して行くことが,本学科の特徴・特長であると考えます。そのための一助となればと考えています。
こども学科には,キャッチ・コピーがあります。「育もう いのちを見つめる やさしさを」です。「脳と心」という一般教養の授業で,大学生と来年度入学する附属高校の生徒が合同の授業を受講しています。「脳と心」の授業で,こども学科のこのコピーを基に,命の大切さを伝えるPPT絵本の制作に取り組みました。
先ずグループで話し合ってストーリーを考え,分担を決めてペイントで絵を描き,PPTに絵を挿入し,テキストボックス等で文字を入れ,PPT絵本を完成させるという課題です。本年度の高校生は,次に紹介するようなPPT絵本を制作してくれました。
作品①:ドングリから芽が出て,生育する過程の困難さに耐えながら,やがて大樹に成長する姿に,命の大切さを伝えるというようなストーリーの作品です。
作品②:赤ちゃんが生まれ,健康に成長することは,決して当たり前のことではなく,多くの危機を乗り越え,大切に育まれる一種の奇跡のような過程を経たものであることから,ひとつしかない命の大切さを伝えるというようなストーリーの作品です。
絵の出来栄えは,ペイントでの制作に馴れていないとはいえ,ギリ C評価 というところでしょうか?? ストーリーは,上手くできていると思います。
初め,高校生たちは,グループワークに馴れずなかなか上手く進めることができていませんでした。大学生たちは,「ルーティーンです」 と言っていたように,スムーズにグループで話し合い,役割分担を決め,制作に取り掛かっていました。さすがに,一日の長があると,高校生たちも驚いていました。このような場面を見ると,大学生たちの成長を感じます。さすが,お兄さんお姉さん。良い見本になっています。
来年度入学すれば,違う高校出身の同級生や,年上の先輩たちとグループワークをする機会が多くあります。また,幼稚園・保育園・小学校などに就職すると,自分より10歳20歳年上の同僚とグループワークをしたり,担当クラスをリーダーとしてまとめたりもしなくてはいけません。この授業を通して,大学での授業はどのようなものであり,大学生たちはどのように課題に取り組んでいるのかを直接体験して感じたこと・知ったことが多少なりともあったと思います。そのようなこともこの授業の目的の1つのように思います。
高校生たちは,普段とは違う環境・雰囲気の中,よく頑張ったと思います。たいへんよくできました。
12月6日午前2時30分前,小惑星探査機「はやぶさ2」から放されたカプセルが,オーストラリアの上空で,流れ星のような火球として観測され,地球に帰還したことが確認されました。
大気圏再突入カプセル
リュウグウへの着陸
小惑星「リュウグウ」は,地球から約2億8000万Kmの距離で,光速で約15分という近距離にあります。はやぶさ2は,2014年12月に打ち上げられ,リュウグウ到着後,2019年7月から2回目のタッチダウンを始め,リュウグウの地表に金属弾をぶつけ,クレーターができる際に飛び散って積もった地中の砂や石を採取するミッションに挑みました。
リュウグウに到着し,タッチダウンを始めることまではプログラミングで指令を出せますが,地球との通信が難しため,最終段階の着陸する場所は,カメラ・高度計・AIを駆使し,自動運転で着陸点を決定し,ミッションを遂行するものであったとのことです。
サンプリング装置・採取サンプル
2020年12月15日,リュウグウのガスサンプル,砂粒状のサンプルを採取したことが確認されました。特に,ガスサンプルは,地球圏外から気体状態の物質のサンプルリターンは,世界で初めての快挙です。2010年6月の「はやぶさ」以来の一連のミッションの成功で,サンプルリターン技術は,日本のお家芸といわれ,日本のこの分野での科学技術力の高さを示すものとなりました。はやぶさ2のカプセルは,リュウグウからのサンプルということで,リュウグウからの玉手箱と呼ばれています。今後,分析が進み,地球の水はどこから来たのか? 生命を構成する有機物はどこでできたのか? といった太陽系の誕生・生命誕生の秘密が解き明かられることが楽しみです。
小惑星探査機の打ち上げ,および,イオンエンジン・自律航法・標本採取・サンプルリターンの技術は,概していれば,STEMの総結集です。STEMとは,Science(科学),Technology(技術),Engineering(工学),Mathematics(数学)の頭文字を繋げた造語です。STEMを修得した人材育成を目指すSTEM教育の重要性は,2011年1月のアメリカ オバマ大統領による「2011 State of the Union Address(2011年一般教書演説)」以来,広く知られるようになりました。日本では,2020年度から小学校で全面実施された学習指導要領において,プログラミング教育の導入という形で知られるようになりました。
こども学科の2年次生が受講する「理科」,3年次生が受講する「理科指導法」では,STEM教育を担える小学校教員を養成することを目指した授業を実践しています。学生は,STEM教育指導方法の検討,STEM教材の開発などに取り組んでいます。
理科教育に携わる者として,学生たちが小学校教員となり,将来,JAXAの職員などとして,小惑星探査に携わるようなSTEM人材を育てるような教員となってくれることを期待しています。そのためのしっかりとした小学校教員養成を実践していきたいと思っています。
写真:(c)宇宙航空研究開発機構(JAXA)
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47192110Q9A710C1MM0000 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201206/k10012748501000.html https://www.jaxa.jp/press/2020/12/20201214-1_j.html https://www.isas.jaxa.jp/topics/002522.html
https://www.isas.jaxa.jp/topics/002526.html
冬の夜空のスターといえば,オリオン座ですね。
小学校4年生の時,「月と星」の単元で,冬の大三角を勉強したことを憶えている方も多いと思います。ペテルギウス(オリオンの右肩)の明るさが,観測50年で最も暗くなっていることが懸念されていました。「超新星爆発説」「ペテルギウス自身が出したガスのせい説」などなど諸説が飛び交っていました。ですが,最新の観測結果では,以前の明るさを取り戻しつつあることを示し,しばらく爆発の恐れはなさそうとのことです。
オリオン座には,多くの方の思い入れがあると思いますが,私もその一人です。院生の時の冬の時期,帰りにバスを待ちながら,六甲山の中腹から,近景に神戸の夜景,遠景に大阪湾,それら上空にVRゴーグルで見たような,オリオン座が夜空一面に広がっているのを見るのが楽しみでした。今日も晴れないかな,雲がかかっていないといいなと思いながら,帰りのオリオンを見るのが楽しみに,論文を書いていました。壮大な自然事象に大きな感動をし,古代の人々が星座に思いを馳せ,物語を想像したことがよく理解できる体験でした。
研究者の性としてはわかりますが,天文学者の中には,超新星爆発が観測できないと考える人もいるようで・・・,オリオン好きとしては,性を越して業ではないかと複雑な思いがします。
大阪では,12月,19時:東の空~24時:南の空~4時:西の空で観られます(凡そです)。キリリとした空気の中,暖かい服装で,澄んだ冬の夜空を観察するのも,この時期の楽しみであります。
最近になって,ペテルギウスの大きさ・地球までの距離がこれまで考えられていたことと違うようだというようなことも明らかになったようで,よく知られ,観測もされて来ましたが,まだまだ新たな発見もあるようです。On Line授業の中,いつもよりは少し時間を自由に使えるのではないかと思います。爆発はまだ先のようですが,言いたいことは,つまり,見られるうちに,オリオン座を観ましょう。
参考:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/010600006/ https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/022700132/