新企画! 介護あいうえお作文 第4回

第4弾は、「かいごふくしし」の「ふ」です。
「ふ」といえば、「フラワーアレンジメント」、「フェイスメイク」・・・

介護福祉学科では、様々な体験型の学内実習を取り入れています。外部講師の先生方のご協力をいただき、2年生が「フラワーアレンジメント」、「化粧療法」、「アロマセラピー」について実習を行いました。
これらは、認知症の人への非薬物療法(薬を使わないアプローチ)としても知られています。他にも有名な非薬物療法として、音楽療法や、回想法、リアリティ・リエンテーション(RO)、バリデーションなどはご存じの方も多いのではないでしょうか。
近年では、徘徊や物盗られ妄想をはじめとした認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する非薬物療法の効果検証に関する研究もかなり蓄積されてきています。たとえば、音楽療法は、不安や、うつ状態、焦燥性の興奮といったBPSDに対する特に直後効果が示されています。
他の非薬物療法に関しても、対象者への適性や個別性を考慮して実施することで、より効果を高められる可能性があり、今後さらに質の高い研究が積み重ねられ、効果が実証されることが期待されています。
さらに重要な点として、このようなBPSDに対する非薬物療法については、治療法というだけでなく、認知症の人の日々の生活をより充実したものにするという意義も大きいことがあげられます。つまり、たとえば日常の中に、その人に合った音楽や、若い頃の話題などをうまく組み込むことによって、日常が穏やかで楽しい生活になり、結果的にBPSDの予防につながるということです。1)

ぜひ皆さんも、本学の介護福祉学科で、非薬物的なアプローチについて体験してみてください。

ちなみに、今回2年生が体験した「化粧療法」については、2021年に下記の岡山大学の先生方のグループが即時的な効果について報告をされていました。2)
認知症の人に対する化粧療法の即時的な効果の検証を行った結果、認知症である女性の行動・心理症状(BPSD)への即時的な効果が示され、AIソフトからは化粧療法により見た目年齢を若くする効果が示された、ということです(この訳に関しては、著者の先生方によるものではありません。詳しくは下記の論文を参照してください)。

1)老年臨床心理学ハンドブック(2022年出版予定)福村出版
2)Tadokoro, K. et al. (2021) Immediate Beneficial Effect of Makeup Therapy on Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia and Facial Appearance Analyzed by Artificial Intelligence Software. J Alzheimers Dis, 83(1):57-63. doi: 10.3233/JAD-210284.