【お年寄りとウイスキー】
みなさん、ご機嫌いかがですか?介護福祉学科の馬込です。
時々こんな話を聞かれたことはないですか?
「うちのおばあちゃん預けている老人ホームの職員さん、何もしてくれへんのよっ!」
以前、勤めていた学校での出来事です。
私は老人ホームで実習をしている学生と施設で話をしていました。
話の内容は実習での課題である「介護計画」の進捗状況でした。
詳細は省略しますが、学生の介護計画は、運動不足と思われる利用者さんに
身体を動かしてもらうというものでした。学生がいくら運動に誘っても利用者が
乗ってきてくれなくて、学生は計画が進まず、途方に暮れていました
私が利用者に運動させるためのテクニックを学生に話していた時のことでした。
一緒に聞いていた施設の職員さんが、
「先生、心が動かな、身体は動かんよ」と、ひとこと言われたのです。
「あぁ、テクニックに走って、利用者さんの気持ちを一つも考えてなかったな」
と反省したのでした。利用者の身になって考えて、利用者さんが運動したくなる
にはどうしたらいいかを学生と考えました。
その結果、利用者さんは運動をされたのです!
心が動くように働きかけますが、ひょっとしたら時間がかかるかもしれません。
その間、待つことも重要になります。そうそう急かされても心は動きません。
某洋酒メーカーのウイスキーのCMでのキャッチコピーですね。
介護もよく似ています。
利用者さんを施設のやり方に無理やり合わせるのではなく、その人らしさを大切にする
ことが重要です。そのためには気持ちが整って、心が動くまで待つことも重要なのです。
人の気持ちって、ウイスキーが熟成するようにゆっくり整っていくものかもしれません。
老人ホームの職員さん、何もしないのではないかもしれませんね。
そう“積極的に”待っているのです。気持ちの熟成を見守りながら。