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大好評! 連載企画第5弾「介護現場ってどんなところ?」

介護現場では、どんな知識や技能があると良いのでしょうか?
もちろん、介護福祉学科で学ぶ技能、知識は必ず必要になるということを前提としたお話です。

これに加えて、このような知識や技能があれば、介護現場で役立ったのではないか?という例を介護現場の事例から、2つほどご紹介します。

まずは「運転免許」。
特にデイサービスでは普通車や軽自動車で利用者さんを個別に送迎をすることもあることから、介護現場で働きたいと考えている方は、運転免許は早いうちに取得しておくことをお勧めします。
ちなみに、私が介護福祉業界に入れた理由は「MT(マニュアル)の車が運転できたから」みたいです。今はMT車は少なくなりましたが、私が介護職員だった1990年代は、施設の車いす用リフトのついた大型の車は、ほぼMT車でした。そのため、当時、私は「送迎車が運転できる男性職員が来た」ということで、かなり歓迎された覚えがあります。ただし、私のシフトは「送迎、送迎、風呂、送迎」(権藤、権藤、雨、権藤みたいですね)で、なかなか忙しい日々でした。
もちろん、今の送迎車はほとんどがAT(オートマ)車で、はるかに運転しやすい仕様になっています。そのため、介護現場では「とにかく安全に車の運転ができる」ということが大切ですね。

つぎに「パソコン」の知識と技能。
介護現場ではパソコンやスマホが使えるということは、とても大きなメリットがあります。以前は利用者さんの記録(ケース記録といいます)は紙に記入し、ファイリングして保管することがほとんどでしたが、最近では、電子カルテやICT機器が福祉施設でも普及しており、介護保険の請求や他施設とのやり取りもデジタルで行うことが一般的になってきました。かくいう私は、パソコンを組んだりばらしたりということが趣味だったのですが、それを施設長に知られてしまってからは、施設のパソコンの管理や広報誌の作成を「焼肉おごるからさぁ~、頼むよ~」と言われて引き受けていました。今から20年以上も前の話です。現在では、個人情報の管理や機器の運用の仕組みが複雑になってきましたので、パソコンやタブレット、そして施設内でのデータ管理は専門業者が入っていることがほとんどです。しかし、たとえばゲーミングパソコンでゲームをすることが好きだったり、自作パソコンを作ったりする技能があれば、介護現場で少しパソコンがトラブルに見舞われたときに重宝されると思います。

※上司や施設長のパソコンにトラブルが起きた時には、再起動すると解決していましたが、それだけも当時はかなり感謝されていました。(あくまでも個人の経験です)

この他にも、「こんな知識があっても使えない?」と思っている以外な技能が、介護現場では役に立つことも多いです。
たとえば、「部活が吹奏楽部だった=レクリエーションでエース級の大活躍 ただし楽器は持ち込み」、「ネコやイヌなどペットを飼っていた=コミュニケーションで困ったときに大活躍(しかしなぜかネコ派とイヌ派に分かれる」など、いろいろあります。

それは、介護現場が「生活」という、「人それぞれバラエティー豊かなことを支えていくから」なのでしょう。

大好評! 連載企画第5弾「介護現場ってどんなところ?」

介護の現場から~夜勤中のヒェ~ッ!!!なお話~

あれは今から数十年前、まだ「介護保険」という言葉もない時代
当時勤務していた高齢者施設での夜勤中のできごとです・・・

深夜2時すぎ、おむつ交換にまわるため、8人部屋のお部屋に入ります

うす暗い大部屋・・・そっとベッドに近づいて、枕元の灯だけともしました
何気なくベッドの上を見ると・・・・・ ん????  えぇっ?!?!
ベッドの上と下から人間の頭が見えるではありませんか!!!!
「ヒェ~ッ!!!!!」と思わず声をあげてしまった、新人のわたくし
本当に腰が抜けるほど驚きました・・・・

よくよく見ると、別のお部屋のおばあ様がよそ様のベッド内で熟睡中・・・
部屋を間違えて入ったことも気にされず、目の前のベッドの足元からそっと
お休みになられたご様子でした

「起きてください・・・お部屋、間違えていますよ」と私なりにできるだけ冷静に
お言葉をかけましたが、「うるさいねん!! なんやの、寝かしてちょうだい!!」
と叱られました・・・涙・・・・・

いろいろな意味で  夜勤中のヒェ~ッ!! な お話です・・・・

“大好評! 連載企画第5弾「介護現場ってどんなところ?」その4

グループホームの良いところ

グループホームでは、1つの共同生活住居に5~9人の少人数の入居者が、介護スタッフとともに共同生活を送っています。
家庭的な環境のもとで、認知症の人を対象とした専門的な援助やサービスが提供されています。
入居者さんは状態に応じて、スタッフの援助を受けながら、料理や掃除などの役割を担って生活をしています。
特に食事の面では、入居者さんと介護スタッフが一緒に食事を準備して、作ったり食べたりする点が、調理を施設側ですべて行ってくれる他の介護施設とは異なります。
このように家事を一緒に行うことで、認知症の進行を遅らせることのメリットも期待されています。

私もグループホームで介護の仕事をしてきましたが、若いころ料理には慣れていなかったため、入居者のおばあちゃんに、たくさん料理を教えてもらったり、手伝ってもらったりしていました。
認知症(特にアルツハイマー型認知症)になると、初期から特に最近の記憶の障害が大きくなりますが、「技の記憶」と呼ばれる「手続き記憶(自転車の乗り方や泳ぎ方など、からだで覚えるような記憶)」はしっかりと残っている方が多いのです。ですので、とくに昔から料理をたくさんしてきたおばあちゃんは、認知症になっても包丁さばきなどは、私よりはるかに上手でした。

これから介護の仕事に就こうとしている人で、料理が好きな人や、料理を覚えたい、うまくなりたい人にはグループホームがおすすめです!

“大好評! 連載企画第5弾「介護現場ってどんなところ?」

【お年寄りとウイスキー】

みなさん、ご機嫌いかがですか?介護福祉学科の馬込です。
時々こんな話を聞かれたことはないですか?

「うちのおばあちゃん預けている老人ホームの職員さん、何もしてくれへんのよっ!」

以前、勤めていた学校での出来事です。
私は老人ホームで実習をしている学生と施設で話をしていました。
話の内容は実習での課題である「介護計画」の進捗状況でした。

詳細は省略しますが、学生の介護計画は、運動不足と思われる利用者さんに
身体を動かしてもらうというものでした。学生がいくら運動に誘っても利用者が
乗ってきてくれなくて、学生は計画が進まず、途方に暮れていました

私が利用者に運動させるためのテクニックを学生に話していた時のことでした。
一緒に聞いていた施設の職員さんが、

「先生、心が動かな、身体は動かんよ」と、ひとこと言われたのです。

「あぁ、テクニックに走って、利用者さんの気持ちを一つも考えてなかったな」
と反省したのでした。利用者の身になって考えて、利用者さんが運動したくなる
にはどうしたらいいかを学生と考えました。
その結果、利用者さんは運動をされたのです!

心が動くように働きかけますが、ひょっとしたら時間がかかるかもしれません。
その間、待つことも重要になります。そうそう急かされても心は動きません。

何も足さない。何も引かない。

某洋酒メーカーのウイスキーのCMでのキャッチコピーですね。
介護もよく似ています。

利用者さんを施設のやり方に無理やり合わせるのではなく、その人らしさを大切にする
ことが重要です。そのためには気持ちが整って、心が動くまで待つことも重要なのです。
人の気持ちって、ウイスキーが熟成するようにゆっくり整っていくものかもしれません。

老人ホームの職員さん、何もしないのではないかもしれませんね。
そう“積極的に”待っているのです。気持ちの熟成を見守りながら。