日本芸術入門 後期授業の振り返り

先週で授業が終わり学生のみなさんは後期試験とレポートで忙しい日が続いています。
留学生授業の日本芸術入門では、隔週で市内の美術館を見学しレポートを提出してきました。この授業を振り返って、見学授業の様子と留学生による展評レポートの抜粋を紹介します。

どの展覧会も面白かったですね

①最初の授業で見学したのは大阪市立美術館「聖徳太子-日出づる処の天子」展でした。
没後1400年を記念し、聖徳太子に関する多くの作品が展示されていて授業時間内で見終わることができないくらいでした。

見学の後に記念撮影をしました

展評:「七星剣」について
”私が引き付けられたのは昭和54年に作られた「七星剣」である。「太子伝来七種の宝物」と言われている。鉄造の剣は非常に滑らかに磨かれていて、何年も経ったようには全く見えなかった。剣の表面には古代中国の天体思想と関連がある模様が彫られている。とても美しく壮観な剣である。”

②中之島フェスティバルタワーにある香雪美術館は、都心の高層ビルの中に作られたお茶室が有名です。ここでは特別展で長谷川等伯の柳橋水車図屏風を見てきました。

中之島香雪美術館のお茶室の前で記念撮影

展評:「柳橋水車図屏風」について
“桃山時代の「柳橋図屏風」は遠くから見ると非常に美しい絵画である。近くから見ると、柳樹の枝や柳葉の細かいところがよく描かれていることに驚いた。室町時代に作られた「柳橋図屏風」もそうである。冬の柳樹の枝は現実の柳樹にそっくりに描かれている。まるで私はこの美しい冬景色の中にいるようだ。”

③11月には松伯美術館で日本画の上村松篁さんの花鳥画を見てきました。大学から遠いとの意見もありましたが、庭園も綺麗でよかったです。

美術館の入口の庭園では紅葉がはじまろうとしていました

展評:「閑庭迎秋」と「白梅」について
“大正10年(19歳)に描いた「閑庭迎秋」では、鶏の羽、鳴いている鶏、つついて食べる鶏が本物そっくりに描かれている。画家がまだ10代の作品であることに驚かされた。平成7年(93歳)の「白梅」も大好きな絵である。93歳でも画家の実力は衰えていない。冬の梅の木の枝の細い点が非常に精致に処理されている。白い梅、黄色の蕊、そして小鳥がのんびりと梅を見る美しい光景である。”

④あべのハルカス美術館「福富太郎の眼」展では北野恒富や鏑木清方の美人画が数多く展示されていました。学生さんたちに誰が一番美人と思うか聞いてみたところ、一番人気があったのは鏑木清方の「妖魚」でした。

“妖魚が一番綺麗な美人です”

“人の姿に魚の尾を持つ妖魚は、中国の人魚姫に似ています。髪が長くセクシーでとても美人だと思います”

また最後の部屋に展示されていた満谷国四郎の「軍人の妻」を挙げた人もいました。

“夫を戦争で亡くした妻を描いたこの作品は戦争の残酷さを伝えています。溢れそうな涙を浮かべる女性の表情に感動しました。”

⑤見学授業の最後は国立国際美術館の「1968年展 −新しいパラダイムを求めて−」でした。

日本の現代アートを勉強しました

この日はちょうど小学生の観覧日と重なっていて館内にはたくさんの子供たちがいました。どんなことをしているの?とこどもたちにきいてみたところ、「自分が興味を引かれるところや、疑問に思ったことなどをワークシートに書いています!」とのこと。みんな熱心に作品を観察していました。

こどもたちは作好奇心いっぱいで作品をみていました

私達もこどもたちに負けないよう現代アートの作品に向き合っていろいろな意見を出し合いました。

美術評論家みたいですね!

最近は先行き不透明な時代のビジネス戦略にアート思考を活用する必要性が主張されています。日本の芸術を学びながらビジネスにも活用できるようになれたらいいですね。

公開講座「さまよえるモティーフー伝説からファンタジーへ」

1月8日の公開講座では本学科の横田詩織先生が「さまよえるモティーフー伝説からファンタジーへ」と題した講座をオンラインと対面の両方で行いました。

横田先生のご専門はドイツ・オーストリア文学です。

オーストリアにも留学経験がありドイツ語が堪能です。

この日は先生のご専門のグリム童話などの民話研究の視点から、古くから人々に親しまれてきた物語や伝説の登場人物やキャラクターがどのように現代まで受け継がれ、変化してきたかについてお話して頂きました。

伝説とファンタジーとメルヒェンの違いについて詳しく解説して頂きました

その一例として紹介されたのがアマビエです。

昨年のコロナ禍で、SNSを通じて爆発的な広がりを見せた「アマビエ」伝説は、今や地域振興のマスコットに選ばれるほど親しまれています。

『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)

アマビエは江戸時代に熊本県の海に現れた疫病封じの妖怪ですが、「疫病流行時にアマビエの姿を描いて人に見せよ」という本来の“お告げ”から、コロナ(COVID-19)収束を祈願して描こう、という呼びかけを契機としてCOVID-19収束祈願の象徴になりました。

厚生労働省の啓発アイコン

アマビエのように、伝説上の存在がモチーフ化して、まったく別の場所で活躍することは珍しくなく、私達になじみのある現代のキャラクターにも見出すことできます。森に住む美しい種族となったエルフ、世界的な人気を誇るRPGのキャラクターになったゴーレムなど、時代の流れとともにキャラクター自身も変容し、新しい物語とともに生き続けているんですね!おもしろい!

なぜ昨年爆発的なヒットとなった『鬼滅の刃』があれほど世界中で人気を博したのでしょう?

それは日本の伝統的な鬼のイメージが、西洋のドラキュラやゾンビ、さらにはそれを着想源とした『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するような「吸血鬼」を経て、『鬼滅の刃』の鬼へと変容を遂げてきたことに理由があるようです。

日本的な「鬼」のイメージが、異なる宗教や文化背景の人達にとっても親しみのある普遍的なキャラクターへと変化したことで世界中の人々に共感を与えているんですね。

横田先生、日本のサブカルチャー論から民話研究にまたがる興味深い講座をどうもありがとうございました。

次の機会にはご専門の『グリム童話』の研究についてもっとお聞きしたいと思います。

特別講義「国際協力をキャリアにするとは」

昨日12/23(木)、JICA青年海外協力隊でコスタリカに派遣されていた細川ひかりさんをお招きして、「国際協力をキャリアにするとは」というテーマで特別講義をしていただきました!

講義の様子

なんと、細川さんは現役の大学生!

派遣された市はごみ処理場を建設・運営できる資金がなく、ごみ処理場のある首都までごみを運ぼうにも遠く離れていて……というごみ問題に1年、取り組んできたのだそうです

東大阪大学のみなさんからの質問にも、同じ大学生という立場から率直に答えていただいて、よい刺激になったようでした

日本芸術入門「鳥獣戯画をえがく」

先週の日本芸術入門の授業では鳥獣戯画について勉強しました。

甲本、乙本に描かれる内容を見た後で、学生のみなさんも実際に筆で描くことにチャレンジしました。

描いた動物たちにどんな台詞をつけるかも各自で考えました。

世界の万物は全て一つの矢につながっている
これは漫才みたいでおもしろいですね!

蘇州大学とのオンライン交流会開催!

今日は何の日? サンクス・ギビング? いいえ、中国・蘇州大学とのオンライン交流会の日!

そんなわけで、本日お昼、東大阪大学と蘇州大学のオンライン交流会が開催されました!

発表テーマはどちらも「就職活動」

まずは蘇州大学の学生さんたちから中国の就職活動についての発表を聞き、

女性自身は「家庭と仕事の両立」を希望している人が最も多いのに対し、男性は女性に出産や育児のタイミングで一度退職してほしい、と考えている人が多いのだとか

今度は日本の就職活動について、グループごとに発表しました

就職活動の味方、キャリアサポートセンター!

最後は質疑応答の時間

どうして日本では年齢が高いほど年収が増えるの?

給料が他の職業と比べて高くないのに、中国ではどうして公務員が人気なの?

など、別の国に住んでいるからこそ生まれる疑問に、どちらも一生懸命答えていました

日本で暮らしていて当たり前に思っていたことが別の国から見ると当たり前じゃなかった、とわかってざわめきも

初めてのオンライン交流会、教員も学生もバタバタしていましたが、大きなトラブルもなく無事終えることができました

COVID-19の流行で実際に海外に行ったり日本に来てもらったりする交流が難しい今だからこそ実現したオンライン交流会

試行錯誤しながら、また次回につなげていけるようがんばりましょう!

蘇州大学とのオンライン交流会、いよいよ開催

新型コロナの影響で海外の大学との交流も制限され、途絶えている昨今、本学
科では学科の特色を出したく、海外の大学とのオンライン交流会を提案、企画
しています

その第一弾として、来月、中国蘇州大学外国語学部日本語科と共催するこ
とになりました

テーマは「就職活動」。日中両国の「就活」における相違点と共通点を、両学
科の学生がグループを分けて調査、オンラインを通して発表します。「就活
」から見えてくる日中若者の夢や理想、そして現実を探りながら相互理解を深
めることが目的です

交流会は両学科の学生が司会し、使用言語は日本語、意思疎通が困難な場合、本学科の留学生は通訳の「大役」を担います


蘇州大学は1900年創設の「東呉大学」を前身とし、120年以上の歴史を有する
中国の名門大学の一つ。現在、医学部をはじめ、30の学部があり、大学院生や
留学生を含め、5万人近くの学生が在籍しています


このようなオンライン交流会は、今後定期化し、他の国と地域の大学にも広げ
ていきたいと学科の教員と学生も意気込んでいます

開学当初の蘇州大学
開学当初の蘇州大学正門

特別講義「JICA青年海外協力隊・株式会社ボーダレスジャパン」

国際教養こども学科・アジアこども学科では前期授業の最終週にあたる7月28日水曜日の午後に外部講師の先生による特別講義を開催しました。

第一部は元JICA青年海外協力隊の林先生による対面の講演でした。
林先生は大学卒業後、JICAよりフィジーに派遣され、現地の小学校で2年間音楽の先生をされていました。林先生からは協力隊員としての活動について、またフィジー独特の社会や文化について興味深いお話を聞かせて頂きました。学生からは協力隊員になるための準備として今から何をすべきかなどさまざまな質問があり、今後各自のキャリアに役立つアドバイスもして頂きました。

JICA海外青年協力隊元隊員林先生による講演「フィジーから考える幸せな生き方」

第二部は株式会社ボーダレス・ジャパンによるオンラインの企業説明会が行われました。まず採用担当の呉原さんからは、学生のみなさんと同じ頃、呉原さんの学生時代にどのような出会いがあり、社会起業家としてのキャリアを歩みだしたのかお話をして頂きました。そして社会問題を解決するためのソーシャル・ビジネスとは何か、また同じ志を持つ若い起業家たちが集まるボーダレス・ジャパンはどのような仕組みになっているのか説明して頂きました。

株式会社ボーダレス・ジャパン採用担当呉原さんによるオンライン企業説明

次にボーダレス・ジャパンが運営する「ボーダレスハウス」について李社長よりご説明頂きました。外国人と一緒に暮らすシェアハウスとして人気を集めるボーダレスハウスは日常生活で国際交流を体験できる学びの場としても活用されています。李社長からは国際教養こども学科の学生たちにボーダレスハウスのインターンシップ BH CAMPのプログラムへの参加を提案して頂きました。

https://www.borderless-house.jp/jp/program/bhcamp/

今回の特別講義はいずれも国際協力・社会貢献・ソーシャルシェアリングがテーマになっています。林先生の講義ではフィジーの「ケレケレ」という言葉・概念が印象に残りました。フィジーでは「ケレケレ」”please” と言われてると、自分の持っているモノを相手に与える、シェアするという習慣があります。それは服や食べ物、お金、家族などあらゆるものにあてはまります。そこには「自分のモノはみんなのモノ」、「みんなのモノは自分のモノ」、モノはみんなでシェアしようという考え方があります。ケレケレとは期待なく相手に与えることであり、より多くの人がこのような考え方を持てれば、生きやすい・住みやすい社会へと変わっていくことができるでしょう。実際東南アジアの国でも「ケレケレ」と同じ相互扶助の概念があるようです。

林先生は現在神戸で「住みびらきのお家ケレケレ」を運営されていて、シェアハウスやフリーマーケットなどフィジーでの経験に着想を得た活動を展開されています。神戸に行ったときにはぜひケレケレを訪問してみましょう。

林先生の活動は朝日新聞で紹介され、神戸市長もケレケレを訪問されました。https://www.asahi.com/articles/ASP5977C8P4ZPIHB03H.html
林先生のSNSにも登録してみましょう

株式会社くれえる企業講演

アジアこども学科4回生の必修授業「日本企業とアジア社会」ではアジアの日本企業、大阪の企業・企業家をテーマに勉強しています。
今学期最後の授業では東大阪の地元企業を代表して株式会社くれえるの山田まゆみ先生に大学までお越しいただきお話を聞かせて頂きました。

株式会社くれえるは創業47年、東大阪を拠点に品質の高い自然派化粧品を提供している国際的な企業です。
https://claircos.co.jp/
また化粧品メーカーとしてだけではなく、ビューティセラピストを養成する専門学校、愛雅粧(あいがしょう)ビューティカレッジを運営されています。

今回の授業では、山田まゆみ先生が学生のみなさんと同世代の頃に、どのようにして会社と出会ったのかという身近なお話から、現在マーケティングのプロフェッショナルとして、どのようなサービスを顧客に提供されているのかなど、これから社会人として羽ばたいていく4回生にとって今後の心構えとなる貴重なお話をうかがいました。

山田先生が教員として後進の育成にあたられているビューティーカレッジではオーストラリア政府認定の国家資格を取得できることが最大の特徴です。
この資格を取得するとイギリス連邦加盟国(かつてイギリスの植民地だった54ヶ国)でプロのセラピストとして就労が可能となることから、カレッジの卒業生は世界各国で活躍しています。

各国から一流のセラピストたちが集まる欧米のビューティーサロンでも日本のセラピストのサービスは世界一との評価を受けています。
その根本にあるのは私たちそれぞれが心の中に持っている「自分よりも相手のことを大切に思うきもち」です。くれえるはそれを究極のサービスのスタイルとして商品やセラピストの技術に昇華させています。

くれえる化粧品は、華やかなデザインやパッケージングで表面的に惹きつけるブランド化粧品とは異なり、家族三代にわたって愛用されている方もあり、国内外で根強い人気を誇っています。その秘密はやはり「相手(顧客)を大切に思うきもち」。人間の身体によくない物質の含まれる商品は作らない、売らないというポリシーを貫いています。

アジアこども学科4回生Sさんによる講演の感想です:
「株式会社くれえるはお客様のことを第一に考えている会社 だという印象を持ちました。商品をたくさん作れば たくさん売れるのに、安全性と健康面において信頼を保つために敢えて作ってないということを聞いて凄いと思いました。 長い歴史を持ち、これからも 発展していく会社だと思っています。会社説明もわかりやすく、先生の言いたいことが伝わりました。講演を聞いて良かったです。」

本学科では今後希望者があれば、株式会社くれえるのサービスの本質を学ぶ短期のインターンシップなど、両者が提携してできるプログラムを計画中です。

山田まゆみ先生:「皮脳同根」とは皮膚と脳はつながっていて同じぐらい人間にとって大切な器官であること

一部は対面授業

今週は、一部の科目で対面授業を実施しました。

授業の様子は、写真・動画が整理できれば後日公開しようと考えています。

  • 授業開始時に全員強制的に手の消毒 (20秒間以上)
  • 顔に手を触れたら消毒しなおし
  • 私語は一切禁止
  • 授業終了時も全員手の消毒

という制約のもとで、トランプを使う授業でした。

この回の授業は、事前に内容を知っていると授業に参加しても効果がないので、毎年、授業参加者へは「後輩に授業内容を教えないように!」と言っています。ですので、このブログでも内容は秘密とさせて下さい。

オンライン授業 進行中

緊急事態宣言により、東大阪大学だけでなく大阪府内の多くの大学がオンライン授業になっていると思います。

そして、いろいろな大学から、学生の「受講方法が分からない」「次に何をしたらよいのか分からない」という声が聞こえてきます。

東大阪大学は小規模な大学なので、学生とのつながりが強いです。国際教養こども学科は、その中でも (短大を含めた中でも) 最も小規模な学科なので、他大学では実現が難しそうなことをやっていたりします。

国際教養こども学科のほぼすべての学生 (及びその前身であるアジアこども学科のほぼすべての学生) は、LINE で私とつながっています。他の教員ともかなりつながっていますし、もしそうでなくても私を経由することで、どの学生からどの教員へも簡単に連絡をとることができます (メールでもいいのですが、「既読」の表示が出るので、学生にとっては LINE の方が連絡に使いやすいと思われます)。

今年度も、特に新入生から大量の質問を受け、全て回答してきました。学生の皆さん、学生には「分からないことを質問する権利」があるのですから、これをどんどん活用して、充実した学生生活を送ってください。